「一生を償いに捧げる」 同性愛殺人のM被告
被告人を懲役15年を処する-。裁判長から判決主文を言い渡されると、M被告(43)はタオル地のハンカチを 握り締めた。大学受験でホテルニュージャパン火災に遭遇し、実家の破産、アルコール依存症、そして殺人…。波乱続きの43年の人生。しかし、同棲(どうせ い)相手のSさんの命を奪った代償は大きすぎた。セミロングだった髪を肩までばっさり切り落としたM被告。色白の顔にほおだけが赤らんでいる。黒色ジャージー上下姿で入廷すると、傍聴席のSさんの遺族には目をやらず、被告人席に座った。
判決の言い渡しでは、証言台の前でうつむき加減に起立し、手にはハンカチを握っていた。裁判長が判決を言い渡す間、聞こえないぐらいの小さな声で「はい」と口を動かしただけで、身動き一つしなかった。
実家は広島県で居酒屋チェーンを経営する資産家。少女時代はバレエや日本舞踊などを習う裕福な生活を送っていた。
昭和57年、大学受験で上京した際に、死者33人を出したホテルニュージャパン火災に遭遇。受験票と筆記用具を部屋に置いたまま避難して九死に一生を得たことで、地元紙に大きく紹介されたことも。
大学卒業後、実家が破産すると、母親の借金を背負い込んだ。ホステスをしながら、アルコールや睡眠薬に頼るようにもなった。Sさんと同棲を始めても、一方で知人男性とも交際。男性関係をめぐる口論の末、Sさんを殺害した。
M被告は被告人質問で、反省文を読んだ。「私と知り合わなければ楽しい人生を過ごしていたはずなのに、それを奪ってしまった。私は一生を償いにささげる。真正直になります」